NHKには「名曲アルバム」という、40年の歴史を誇る名番組があることは、みんなもご存じのことと思います。曲にちなんだ美しい風景を動画と字幕で紹介しながら、曲を聴かせる5分番組です。
これとは別に、しばらく前から「名曲アルバム+(プラス)」という番組が実験的に制作されていました。不定期放送だったので、なかなか出会えなかったのですが、最近積極的に再放送されているようで、今までの「お行儀良い」名曲アルバムとは違うカラーを持った、斬新な映像作品にすっかり引き込まれてしまいました。
最近放送された曲は以下のようなもの。内容紹介しているので、ネタバレ的なものを好まない方は、このまま読まずに閉じることをお勧め。
パッヘルベルのカノン
これはすごい。旋律の追いかけあいが視覚的に、そして楽しげに、伝わってくる名作です。そろそろ飽きてきたかなという頃にしっかりと映像表現(コース)の趣向を変えてくるあたりなど最高です。何人かでアンサンブルしているのかと思ったら、これ、多重録音なのですかね。
伊藤万桜さんのバイオリン、鎌田茉帆さんのチェンバロ。映像は大西景太さん
フィガロの結婚 序曲
フィガロの結婚のストーリーを、マリオ的な横スクロールゲームに乗せて紹介する趣向。もう、すっかり曲はBGMとなり、画面の展開に見入ってしまいました。
角田鋼亮さん指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。映像は山下諒さん。見たことないけど話題のポプテピピックのゲーム映像の人とのこと。
チゴイナーワイゼン
上の2つの「作品」感に比べて、普通にバイオリンを弾き始めたので、あれっ、映像作品ぽくない、と思っていたら、すごいところにカメラを取り付けて迫力ある映像を楽しめたり、弓の動きだけを映像化したり、そのうちスマホを持って撮影した人が、曲やテクの紹介をしながらSNSに投稿していくという、盛り上がりの展開に。SNS投稿は読み切れなかったので、一時停止しながら読んじゃいました(笑)。
南紫音さんのバイオリン、ピアノは江口玲さん。映像は渋江修平さん。
ラ・カンパネラ
黒い背景の中で、ラ・カンパネラを弾く手の映像がひたすら流れる冒頭。そのうち映像を回転させてみたり揺らしてみたりの変化はあるものの、ふぅん、という感想。映像に鍵盤が加わりハンマーアクションが映し出される。・・・と、このあたりで気づく。あれっ?このピアノ、弦が張ってない!
そう。冒頭からずっと流れている手の映像は、この曲を弾いているときの映像ではなく、いわゆる「くちパク」で、つまり、録音済みの音に合わせて後付けで収録した動き。こんな芸当ができるのは一体誰だ、と調べて納得。反田恭平さんでした。うん、この方ならできる(笑)。