バンクーバー五輪が開幕しました。見るともなく開会式の出し物を見て、入場行進は長そうだったのであとで録画を早送りしながら見て、点火式までを一通り見るともなく見ていました。
点火式ではランナー5人に次々と炎のリレーをした後、リレー元の選手も場内に残っているなぁと思っていたらその中の4人が中央に寄り一斉に点火。意外な演出でした。誰かひとりが点火するのではないこの演出は、唯一ヒーロー不在の今の時代にマッチしたものだと感心しました。
本来4本上がってくるはずの柱の一本があがらず、他の人が点火する際にも一人だけ(もしかして最終ランナー?)トーチを持ったまま立っていましたが、その姿が堂々としていて、若干の違和感を感じながらも最初は「ひとりだけ、他の人の点火を見守る役割」という演出なのかと思ったほどでした。舞台裏では大変だったようで急遽の演出変更でしたが、インカムか何かでランナーに伝わったのでしょうか、動じない堂々とした姿に、感動しました。 感動するところが違うかもしれませんけど、このように「ひと」がその場で作り上げていく部分にこそ五輪のような大きな大会の意味があるものと思っています。作り込まれたものも良いのですが、(関係者には大変なことですが)予定外の出来事への対処こそが見るものを惹きつけるのでしょう。
入場行進で印象に残ったことがあります。
それは日本選手団。多くの選手が日の丸とともにカナダ国旗も同時に手に持ち振っていたのです。何度か録画を前に後ろに送ってみましたが、このようなことをしている国はほとんどありません。常に批判ポイントを探している人ならば「自国愛の欠如」とか「他国国旗を振るなんて勝負の世界でノーテンキ」などいくらでも屁理屈は思い浮かぶのでしょうが、ここはオリンピックです。クーベルたんのオリンピズムにも「スポーツを文化や教育と融合」「スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てる」「人間の尊厳保持」と謳われています。
特に開催国に対してこのような形で敬意を表することができる日本選手団。その姿を見て、この国に住んでいて良かったな、と誇らしく思いました。
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