sakaikの日々雑感~日常編

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事業仕分け雑感

 9日間にわたる事業仕分けWGが終わった。個別の判断および内容には賛否はあるが、まずはこれまで惰性で出費されていた各案件を話題に乗せて現状を広く国内に知らしめたという点を含め、多くの側面からこの仕分けを高く評価したい。 仕分け人も役所側の方もおつかれさまでした。

 以下いくつかの視点より思うところを述べたい。


今回の仕分けを評価する点

 膨大な金額が毎年「垂れ流され続けている」と一国民の視点より常々感じていた。50兆円の収入(一般会計ぶん)に対して約700兆円の内国債発行残高があるのだから、工夫によって削れる部分は節制してこの借金ぶんを減らそうと考えるのが通常だと思うが(初めから踏み倒すつもりならばこの限りではない)、その工夫も努力もまったく見られない点に、ある種の苛立ちを感じていたのは事実である。

こういった背景の中で実施された今回の「事業仕分け」。細かい判断については「議論を尽くしていない」とする向きもあるが、何十年も真剣に話題にすらされなかったことを実現したということ自体をまずは高く評価したい。また今回のイベントには多くの「影響力のある人」たちが会場に足を運び、税金の使い道を口にするようになった。これだけでも無関心から関心への変化という面で大きな効果があったと言えよう。


パフォーマーと実務家の対決

 とはいえ、ある種の異業種格闘技との感は否めなかったのが今回の事業仕分け。仕分け人側は国会議員や大企業の社長会長など、周囲の人に自らのパフォーマンスを見せつけること自体が仕事の一部であるような人たち。一方の役人側は少なくともパフォーマーを目指している人たちでないことはあきらか。プロの芸人が普通のサラリーマン相手に「おまえ、おもろくないやっちゃな」と公の場で扱き下ろしているようなものである。

 もちろん、そうは言っても役人側だって相当な金額が投入される各事業に責任を持つ立場であるのだから、その使途や意義について説得力のあるプレゼンを行える人であってほしいという希望はある。今回のイベントをカルチャーショックとして今後能力を高めてもらいたい。

 繰り返しになるが今回は短時間のディベートで好印象を与えることに強みを持つチームが、自らの土俵に相手を引きずり込んで好き勝手暴れ回ったという面は否めない。私が「内容自体は追い風参考。開催自体を評価する」という姿勢を貫く理由はここにもある。


庶民の判断

 ブログやツイートなどを眺めていてがっかりしたのが庶民の反応だ(もちろんこの中には私も含まれる)。総合すると結局は「俺が大事だと思っているものの予算を削るのはケシカラン」ということのようだ。総論賛成各論反対の典型的な事例とも言えよう。それぞれに大切にしているものは異なるので、全員がめいめいの「これにだけは税金を投入しろ」を主張すれば、必要な金額は青天井になるのは自明である。

 また一部に見られた仕分け人批判については、的を射ない揚げ足取りに終始している印象を強く受けた。仕分け人は広範なテーマに対応する時点ですべてに精通することはあり得ないということは誰もが分かっていることなのだから、むしろそういった「専門分野については半ば素人」な人にわかりやすく現状や意義を説明できなかった「巨大予算に責任を持つ立場の人」たちの意識や能力に対して疑義を呈するべきであろう。その分野についての圧倒的な経験と知識を持っているというアドヴァンテージを得ているのだから。


裏番組として行われていた国会

国民が「自分たちの税金がどのように使われているのか」に注目している最中に、裏番組で野党自民党が話題の中心に据えていること(それをマスコミを通じて伝わってきているもの)は、「総理の献金問題」だ。

この問題自体を軽視するつもりはないが、今早急に解決すべき課題というわけではないだろう。効果的な攻めの道具にもなっていない感が強く、攻めることができずに時間稼ぎをするのは単に駄々をこねているのに等しいと判断せざるを得ない。

たとえて言えば、重要なプロジェクトが進行している最中に、「あいつはおれのクリームパン食った!」といつまでも言っているようなものだ。国を動かすという重要な話題についての議論を避けているのだ。クリームパン問題も大切だが、今すべき議論は何か、野党自民党はしっかりと考えてもらいたいと最近の国会の報道を見て感じた。


科学技術研究開発費用

科学技術の研究開発費の大幅削減について、私もその結論にがっかりしたうちの一人だ。

しかし、研究開発だからといって現在の大借金状態の中で無尽蔵に費やせるものではない。今回の仕分人は「主に文系のひとたち」だから価値が分からないんだという論調も一部に見られたが、そういった人たちが予算への大きな影響力を持っているのが現実であるのだから、単に関心の違いや理解の不足という言葉で済ませず、この人たちを納得させる内容(今回の仕分け中の短い期間だけでなく、長期継続的に)が必要であろう。

 またその後、「科学技術のすごい人たち」が声明を発表するなどの活動を行っているが、どれを見ても趣旨は「科学技術は大事」「やらなかったら大変なことになる」「ぼくは残念だと思う」という域を出ていない。もしかしたら誰一人、「なぜ科学技術が大切か」を分かっていないんじゃなかろうかという気さえしてきた。私自身も(私は大切なことだと思っているので)なぜ大切なのかを考える良いきっかけとなった。まだ結論は出ていない。


最優秀廃止賞

 数多くの案件に対して短時間で評価を行ってきた今回の事業仕分けだが、いくつか印象的な議案があった。私の関わる業界と趣味の活動にも関わっているという点で IPA の枠はドキドキしながらネット中継を見た。実際には他の事業と同じ枠の中であまりIPAは話題にされず、これは存在感のなさなのか事業内容が認められているということなのかと迷った(後に、仕分けの取りまとめ人(?)から結果の発表をされる際に「アイピー、、、、えー? ですか? ○○をxxしてください」というシーンがあり、名前すらちゃんと覚えてもらっていないのだったと分かったが)。実際 IPA の担当者の説明は必要事項を簡潔に答えていて(「3点あります」論法を駆使するなど)、非常にうまいなぁと感じた。どなただったのだろうか。もちろん聞いても存じ上げない方だとは思うが。

 一連の事業仕分けの中で、今回特に「最優秀廃止賞」を与えたいのが、「クリスマス事業への予算配分」の廃止だ。http://bogusne.ws/article/132826913.html

 効果が国民一人一人に見えないことと、このような事業こそ民間の力を利用するべきであり、税金の投入や天下りの巣窟となってはならない。極めて大きな判断をした仕分け人に拍手を送りたい。


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