sakaikの日々雑感~日常編

sakaikの日々の雑記。食べ物、読み物、お出かけ(旅行)などなど

今期のNHK語学講座(2019年秋)

 10年以上もだらだらと書いてきたし、今期は見る時間も全然取れなくなってしまったので、もういいかな、と思っていたのですが、幸か不幸か(基本的には不幸な出来事ではあるけど、語学番組ウォッチャーとしては幸い)コロナ禍で時間に余裕ができたので、録画してあったユーロ4言語番組を少しずつ見ることができました。2019年10月~2020年3月(再放送は2020年4月~9月)放送の番組をこんなタイミングで書くのも何かなと思ったのですが、折角なのでメモとして。

 毎度のお断りですが、「語学学習番組」のレビューだと思って読む人は、きっとがっかりします。私にとってこれらの番組は「語学バラエティ」という位置づけで「なんとなく外国語の雰囲気を味わいながら、各地の景色、食べ物、人を、"旅人"さんの感性を通して楽しむ」ことに喜びを感じている次第です。

全体概要

 今期の大きな特徴として、次の2つが挙げられます。

  • 4言語の旅人構成が、女2人男2人になった!(従来は女1人男1人)
  • フランス語がついに男性になった!(従来は不可侵の "女優枠" っぽい雰囲気があった)

 3シーズン製作してきた経験をもとに、全体として随分とこなれてきたなという印象があります。"旅人"さんも、一生懸命に「語学番組の中のサンプルを演じる」という様子はなく(もちろん、自分の役割に対してすっごく責任感を持ち、すっごく気を配っているなということは感じます)、自然体で旅を楽しんでいる様子を、こちらも楽しませていただきました。

旅するスペイン語

 シシド・カフカさんが "旅人"。そして、福嶌先生が監修に復帰。福嶌先生と言えば、もうこれは何年間でも言い続けますが「伝説の(ふざけた)語学講座」を作り上げた大先生でして、特に、スタジオに芸人10人くらいを集めて番組内でスペイン語を学習させ、毎月のテストで2人くらいずつ落としていくという、あの恐ろしい趣向は今でも忘れられません。またやってほしい(笑)。

 さて、シシド・カフカさんの旅。今回はスペインを離れてアルゼンチンの旅です。案内人も第1シーズからずっとつとめられたジン・ライラさんから サンティアゴ・エレーラさんへ。(ジンさんの時々強引な感じでもあるエスコートは結構好きでした。サンティアゴさんは、ご自身は一歩引いてさりげなく案内してくれるイメージ)

 カフカさん、2年間アルゼンチンに住んだことがあるそうで、なんだ、第1回から結構スペイン語ペラペラしゃべっているじゃないですか。一生懸命語学を、文法を学びながら旅するというよりも、既にある程度できるスペイン語をベースに少しずつ使える範囲を増やしていくというフェーズですね。そのぶん、旅番組として楽しんでいる私には全体として濃厚になったように感じました。

 どの回も楽しく鑑賞した中、とくに印象に残った回、私が「神回」と呼ぶ回を紹介。

 楽器好きな私なので、幻の楽器(自分が直接目にする機会はほぼない楽器)であるバンドネオンの構造や作り方を見せてもらえるこの回には大興奮。バンドネオンってもう今は作っていない(いい楽器は誰かの中古が出てくるのを待っている状態)と聞いていたので、こうやって今も作られ続けていることを知り嬉しく思いました(ただし、何ヶ月だったか何年だったか待ちの模様)。

 アンデスの山の中で、民族楽器の演奏に合わせて踊りまくる悪魔たち。ノリが非常に良くて、言うことがちょっとお茶目で、大笑いしながら見ました。

旅するフランス語

 今回の南仏への "旅人" は、東京バレエ団プリンシパルの 柄本(つかもと)弾さん。番組途中からオープニング映像に使われるようになった、川沿いでくるくる回ってジャンプしてからポーズを決める映像だけで、かっこいいー!とため息が出ます。一芸枠(雅楽師だったり、能楽師だったり、バイオリン弾きだったり)の方々は、その世界のズバ抜けた実績を元に現地で交流する様子が大好きです。
 そんなわけで、今シーズンの「神回」は、トゥールーズのキャピトルバレエ団への武者修行の回。一応は語学番組ですから、随分と圧縮された映像になってしまいましたが、NHKの別番組としてこのレッスンの模様だけで2時間くらいの番組として見せてもらいたいくらいです。

旅するイタリア語

 俳優の 小関裕太さんが "旅人"。今シーズンはひたすらシチリア島を巡ります。シチリア島って、なんとなく地図を眺めている程度だと「蹴っ飛ばされ役」ということもあってか、イタリアのさきっぽにちょっとある島、くらいのイメージを持っていたのですが、結構大きな島なのですね。ざっくりと、九州本島と四国を足して2で割ったくらいの面積になります。
 マフィアの歴史を取り上げたりなど、かつての(「旅する」の前のスタジオ講座で東ドイツ時代の体験などを取り上げた)ドイツ語講座に匹敵する感銘を受けました。この語学講座、ときどきこういう重い話題を持ってくるから困る(褒め言葉 )。

旅するドイツ語

 俳優の佐藤めぐみさんが "旅人"。パンが大好きで、ヒマさえあればパン屋さんを巡って珍しいパンを探している(というイメージ。実際はそこまでパン尽くしでもなく、ちゃんとバランスのとれた構成になっていました)。前半はシュヴァルツヴァルト(黒い森)の周辺を散策。収録の最初のほうでは「番組の収録だし、呑んじゃってもいいのかな?」と遠慮がちにビールに口をつけていた佐藤さんが、数回あとの回では「なんだ。この番組はこれでいいのか」とコツを掴んだようで、ぐびびっと豪勢にビールを口に運ぶようになった適応力(笑)が素晴らしい。そうです。この番組は、"旅人" さんに心から楽しんでもらいたいんです。今シーズンのドイツ語には楽しんでいる感が全体に流れていて、心地よかったです。
 フライブルグを中心に、スイスのバーゼルに足を伸ばしたり(バーゼルってドイツとフランスの国境に少し突き出すような場所にあったんですね。知らなかった)、鳥ベルクの時計屋さん(カッコー時計がたくさん!)、その他シュヴァルツバルト付近のたくさんの街を訪問しました。いま改めて全24回のタイトルを眺めてみると、いや彼女、本当に食べまくって呑みまくっていますね。ビールにワインにビールにビール(笑)。第1シーズンのスペイン語並みに(笑)。楽しい旅だったなぁ。ジンさんとのコンビでスペイン語にも挑戦してもらいたいところです(きっと、また呑みまくれる)。

 面白いのが、初回放送(10月~3月)と、リピート放送(4月~9月)でタイトルが変わっていること。
10月に放送された第1回は、「フライブルク街歩き♪」というタイトルでした。数ヶ月間旅をして、パンをいっぱい食べて、この番組の色が見えてきた最終回(第24回)のタイトルは「パンに始まりパンに終わる黒い森の旅」。きれいにまとまりましたね。 そう、そしてこの最終回タイトルにするためには、第1回のタイトルには問題があります。 そして4月の再放送第1回。タイトルが「黒い森のドイツパン」。いいですね!! これでパンに始まりパンに終われるようになりました。こういう細かい作り手のこだわりって、結構好きです。



 ということで、大変に遅ればせながら、「もうやめてもいいかな」と思っていた語学講座鑑賞日記を、結局書いてしまいました(笑)。