徳島での用事を終えた後は、こんぴらさん経由で帰ります。
その前に、どうしても寄ってみたいところがありました。
南ファミリー劇団。ご家族総勢18人くらいで活動されている、こんぴらさんの近くに拠点を置く劇団さんです。
私がこの劇団を知ったのは、たまたまテレビの番組表で見つけた「人生を変える7日間」という番組を見てのこと。尾上右近という名前で現在活躍中の歌舞伎俳優が出るということで、録画して見ました。
番組の内容としては、歌舞伎俳優右近が、大衆演劇一座である南ファミリー劇団に1週間体験入団(?)するというもの。それぞれが持つものを教えあい、舞台上でのお役もいただいたりしながら交流を深める一週間。 似て非なるジャンルに棲む双方が互いを尊重しあい、互いの異文化にわくわくしている様子が画面から伝わってきて、良い番組を見せてもらったと思ったものでした。
BS朝日 - 人生を変える7日旅
右近さんについては語ると長くなるのですが、清元の延寿太夫さんという方が居まして、とにかく素敵なんです。私は歌舞伎の舞台で拝見することが多いのですが、延寿さんの澄んだ高い声の場面になると、うっとりとして卒倒しそうになります。歌舞伎において、視覚の当代一が玉三郎であれば、聴覚の当代一は間違いなく延寿太夫さんでしょう(意見には個人差があります)。
それとは別に、いつからか歌舞伎の舞台での子役として岡村研佑くんという名前を見かけるようになっていました。これがまた、この子がうまいんだ。なんの役でどうだったという事は覚えていなくとも、研佑くんの名を公演チラシに見かけると、見に行くのが楽しみになっていました。
いつからだったか、研佑くんが登場すると「ケンスケっ!」と大向こうさんから声がかかるようになり、あぁとても期待されている若手なんだなと思っていたところ、延寿太夫さんのご子息であることを知ったのがちょうどその頃。
ほら、長くなった(笑)。調べてみたら平成12年8月の歌舞伎座が、私がはじめて研佑くんを見た舞台らしい。同5月の源氏物語は見ていないし、4月の鏡獅子で見たかと思い込んでいたのは調べたらそれは藤山扇治郎くんで(彼の舞もべらぼうに上手かった)、研佑くんは昼の部の出演だったようです。
そんな研佑くん、最近見かけないなと思った数年前。尾上右近という立派な名前をもらっていたことを知りました。余談ですが、いつもわからなくなってしまうので、襲名やご逝去などを自分用のメモとしてここに整理しています>近年の襲名/初舞台/逝去の整理 - sakaikの日々雑感~日常編
ええと、、、南ファミリーさんの話を全然書いていませんけど(笑)、そんな右近さんが一週間を過ごした南ファミリー劇団。双方ともに尊敬あり、自負あり、とても素敵な人間模様を見て、見ただけで終わるはずだったところへ、ふと気づく自分。「そういや来月、こんぴらさんに寄ろうと思っていたんだ。近いわ!!!」
そんなわけで、こんぴらさんに行く前にちょっと立ち寄ってみることにしました。ちょっとだけ前を通ってみて「ここがあの番組の舞台だったのかぁ。この空気を吸いながら右近さんは1週間を過ごしたのかぁ」とプチ感動にひたるだけで十分と思っていたんです。
この日は週に一度の公演の日。駐車場に空きがあったので、ちょっと失礼して停めさせてもらいました。外観だけ見て帰るつもりだったんです。ほんとです!w
そこへ丁度出てきた役者さん。お母様だったでしょうか。降り番のタイミングでお茶やらお食事やらを用意しているところだと思うのですが「中を見ていきますか?」とお声がけいただきました*1。 思いもかけないチャンスに「いいんですか!!!!!」と感動しつつ、中へ。もちろん舞台上演中のお座敷を覗くことはできませんが、廊下の雰囲気だけでも感動です。ふすま一枚向こう側では上演中。とにかく声の迫力がすごいんです。見ていないのに声だけでもぐいっと引き込まれちゃう。機会あったら今度は、南ファミリー劇団を見るために、こんぴらさんに来てみたいなと思いました。そもそもチケットが取れるのかどうかすら知らないのですが(^^;)。
右近さんの近況もよくご存じで、あの番組以降も良いお付き合いが続いている様子がよくわかり、嬉しく思いました。・・・と書いてから劇団のブログを見てみたら、、、まさにその前日に、右近さんの歌舞伎舞台を見にみんなで岡山まで行っていたのですね。素敵!!
再会、そして お勉強!|南ファミリー劇団・扇子家玉四郎のブログ
上演中の、おそらく分刻みでたくさんおお役目があろうお忙しいところ、突然おじゃましたにも関わらず暖かくおもてなしいただいて、ありがとうございました。
※一連の徳島(周辺)訪問日記のトップはこちら:
http://sakaiklife.hateblo.jp/entry/20151114/Tokushima
*1:これを見て今後訪問される方へのお願いですが、今回たまたまタイミングが良かっただけかもしれません。行ったら見学させてもらえるのが当然だとか、そのようには思わないでいただきたいです。ご厚意であったことを理解いただき、劇団さんにご迷惑とならないようお願い申し上げます