- 作者: 石黒圭
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/03/18
- メディア: 新書
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非常におもしろかった。
速読: 話題、取捨選択
味読: 視覚化、予測、文脈
精読: 行間、解釈、記憶
の大きく3つの「読書の目的」、8つの「ストラテジー」に分類して、それぞれのレイヤでの読み方についての示唆を与えてくれる本書。
後半になればなるほど、特に「精読」の分野などでは、文章に書いていないことを「読み取る」テクニックについての紹介が多くなり、「必ずしもその解釈ひとつだけが正解というわけではないのに、それ以外を書くとバツをもらう、学校の国語の試験」のようなレイヤになってしまうこともあって、私の関心も薄れてきましたが*1、
前半については、「書いてあることの読み取り」のお話で、とても興味深く読みました。
スキーマの中で表現が為されていることの重要性(というか前提条件)、全くその通りだと思います。
「予測ストラテジー」で語られる内容は、最近私もよく言っている「妄想的読書のススメ」の正しさに後押しをいただいた気分でした。 ひとと読書の仕方について話していると、中には「文字が目に飛び込んで来てから、はじめて脳が動く」という読み方*2をしている方が、少なからずいることに気づきました。 私は、読んでいるときにどんどん早とちりをして勘違いして妄想たっぷりな読み方をするので、「予測ストラテジー」と重ね合わせると、この「妄想」は、読み進めていった時に「いや、違った」「思った通りだった」と脳内とテキストとの照合を行うところまで述べられたものと言えそうです。もちろん「妄想」「勘違い」と言っているとおり、あくまでも自分がその本や著者の言い分を「先取り」して勝手に「自分が」考えたものだということは忘れてはなりません。妄想全開でページをめくって、すべては自分の妄想であるのに、「著者はこのように言っていた!」と断言するのは、それこそ「勘違い行動」というものです。あくまでも「自分が」そう解釈、理解(←あわせて「妄想」と呼んでいます)をしたのだということを認識できる前提での「妄想読書法」だということは強調しておきたいと思います。
文章に興味がある人は、一度目を通して損のない一冊だと思います。
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