sakaikの日々雑感~日常編

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ヒトラーの経済政策

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

 ひとはわかりやすいレッテル付けが好きである。オウムしかり、吉良様しかり、そしてこのヒトラーしかり。

 オウムでは、(一時的なまやかしであろうとも)信じて救われた時間を過ごせると感じたからこそ惹かれた人が続出したわけだし(そしてこの「怪しい新興宗教」以外に、誰一人、彼らに救いを与えられなかったのも事実)、その中には「善意で使用すればとても効果的な技術」が含まれているはずだ。

 吉良様も、忠臣蔵では一貫していやなじじいとして敵役を演じているが、彼が地元でどのように愛されていたか、中央でどのようなお役目をしていたのかを私は知らない。いつものように若造をからかっていたらブチ切れされてひどい目にあったという見方だってできる。

 そして、本書で取り上げるヒトラー。多くの国民を巻き込むには「身勝手な独裁」の一言では片付けられない背景があるはずだ。


 本書では、ヒトラーの「経済政策」にスポットを当てて、その「いいところ」を掘り出そうとしている。

 いいところ探し(これ自体は悪いことではない)のあまり、その結果として起こる対称事象に対してあまりに軽んじられている部分はあるが、ひとつの思考実験あるいは表現実験としては、面白いものだと感じた。


 個別の施策については、その時々でもっとも合理的なものを選択し、だからこそ国民がついてきたという面はあろうけれども、結局は「問題の先送り」であり、最終的には領土拡大によってオールクリア(ちゃぶ台返し)されることが先行き見えていたのではないか、という印象は、最後までぬぐえなかった。

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