- 作者: 松波晴人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/18
- メディア: 新書
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読了。
現場の動きを見て、分析して問題の解決や新しいサービスの開発に役立てようという、この分野。「現場を見て解析なんて、あたりまえじゃん」と思いがちだが、実際に行うには、何かとたいへんそうである。
(1)ついて回る、見落とさないたいへんさ
本書で言う「行動観察」は、遠くからそっと観察するものではなく、実際に関係者に密着取材してついてまわるものがメインである(密着が叶わない時には遠くからの観察もある)。そういった場合に重要なのが、自らの観察が行動に影響を与えないことのようだ。本人の行動への意識が変わってしまうことのほかに、営業などの現場で営業先が気にするケースだってあろう。
本書では、さらっと書いてあるが、場に「溶け込む」ような密着観察者になるために、並々ならぬ努力と苦労をされたものと推察する。NHKタイムスクープハンターのように「特殊な交渉術」を使えればラクなのであるが・・・・。
(2)結局は見る人のセンス
本書のタイトルからは「行動観察をすれば見えてくるものがある」というメッセージが読めて取れる。誤りではないが、私の印象ではこれは誰にでもできるわけではないものだ。
たくさんの情報が目の前に積まれたとき、そこから様々な妄想を脳内に拡げ、そして尤もらしいものを残していく能力。これこそが「行動観察」が前提条件としている能力なのだと感じた。この能力を持っている上で、インプット情報として、より制度の高い「現場からの情報」を用いるということだ。
ニワトリとタマゴの話になりそうだが、「観察(的な行動)」だけではダメだし、「妄想力」だけでもダメ。正しいインプットと、適切なロジックがあって初めて本書の著者らのような分析行動ができるという点で、やはり誰にでもできるわけではない専門能力なのだな、と私は感じた。
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