「怒り」のマネジメント術 できる人ほどイライラしない (朝日新書)
- 作者: 安藤俊介
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/09/13
- メディア: 新書
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「怒りを全面に押し出して、恐怖政治によって組織をマネジメントする」ための本ではありません。自分の中に発生する「怒り」を、自分自身でどのようにコントロールするかを書いた本です。
私自身も、なるべく「心配」はしない(心配するためにつかう脳は、対応策を考えるために使いたい)、なるべく「イライラ」しない(だって何にも生み出さないし)、と生活しているので、方向性として著者の主張に共感しました。
「怒り」のトリガは他の人などの外部から与えられるものですが、それを「怒り」の感情に変えるのは自分自身のとらえ方。自分の考え方ひとつでスルーすることも怒りにすることもできます。
本書では、「怒らない体質づくり」という本質的な改善のほかに、「対処療法」の効果も認めているところに好感を受けました。いくら「怒らない人になれます」と言ったって、今目の前の怒りをどうにかしないことには、日々生活しにくいですからね。
目の前の怒りを抑える方法として、こんなことを紹介しています。
・怒りを数値化する。点数をつけたりして以前の怒りと比較したり、結構冷静になれる
・自分なりの「落ち着く言葉」を決めてそれを脳内でつぶやく。「気にしない気にしない」とか「アンガーマネジメント!」とか「明日には忘れてるから」とか「今はやめておこう」とか
・心の中で「可愛い毒」を吐く。「おまえのかあちゃんでべそ」とか「犬のうんこ踏んじゃえ」とか。
・別の事を考える。アタマを真っ白にする(白紙をイメージ)、数を数える、ケータイの傷の数を数えるなど
・一旦ブレイク。タイムアウトをとる。相手に「タイム」を宣言するが、このとき「お互いに冷静に」とか言っちゃいけない。あくまで「自分が冷静になりたいから」タイムをとりたいと伝える。
「可愛い毒作戦」と「"自分の都合で"タイムを取る」というのが中でも素晴らしいですね。特に後者は、うっかり「お互い冷静に」とか「あなたが冷静になるために」とか言っちゃいがちなので、肝に銘じたいところです。
あと、著者の主張の中で感銘をうけたところがもうひとつ。
外部からのトリガに対して「怒り」の感情を発生させるのは、自分の中の「心のめがね」によるものなのですが、この「心のめがね」には、正しいも間違っているもないし、良いも悪いもない、ただそういう種類のめがねがあるだけだというのです。 「怒り」というものを負の感情と捉えているとき、「心のメガネが "正しくない" からだ」と思ってしまいがちですが、正しさ云々ではなく、今かけているめがねと違うめがねをかけたほうが得ならば、そうしたほうが良いというだけの話なのです。 著者の優しさを感じました。
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