sakaikの日々雑感~日常編

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スーパーコンピュータを20万円で創る

スーパーコンピューターを20万円で創る (集英社新書)

スーパーコンピューターを20万円で創る (集英社新書)

 コンピュータのシステム開発を生業とする身として、常々思うのが「やりたいことを持っている人は強い」ということ。我々は、コンピュータを使って何ができるか、という事を日々模索しているのだが、他の業種の人は「自分の仕事にコンピュータをどう生かせるか」を考える。つまり非常にピンポイントな目標に邁進できるからだ。


 本書で紹介されているのも、そんな人たちの輝かしい実績だ。天文学者らが、自分たちの必要とする計算能力を持ったコンピュータを、何も知らないレベルから作り上げてしまうストーリー。

 じっくり回路と向き合う集中力のある人、その人の「話し相手」になる人、対外的なやりとりを受け持つ人。それぞれの得意とする部分がうまく填りあった素敵な「チーム」が、本書の中にはある。


 その後のタンパク質計算への応用や、初期メンバがすべて初期の大学を離れるまでの、まさに「高性能コンピュータ GRAPE シリーズ」の歴史が、(一応第三者視点の形式を取りつつも)著者の一人称視点で紹介されています。非常に興味深い十数年間の物語である。


 最初の GRAPE が発表されたとき、そしてその改良型が発表されたときの新聞記事を、なんとなく覚えているなぁ。20年の時を超えて、その詳細に触れることができたことを幸せに思う。


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