- 作者: 渡辺明
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/11
- メディア: 新書
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久々に市内の図書館に行き、ふと目に止まった本。
ご多分に漏れず(?)私も小学生の頃はよく将棋を指していましたが、今や単に「駒の動かし方くらいは知っている」一般人になってしまいました。それでも、たまたま日曜日にNHKの将棋番組を見てしまうと、戦法などわからないなりに、ギリギリのところでの激しいやりとりに興奮したりしています。
そんな背景もあり、目にとまった瞬間にこの本に呼ばれたような気がして、借りてみることにしました。実は渡辺さんが何者なのかも知らなかった私です。(羽生さんの次の世代(プラス約10年)の若手筆頭、超すごい棋士さんらしいです)
なにを考えて将棋を指しているのか、一手にかける思い。たくさんある勝負の中でのメリハリ、どうやって「研究」をしているのか、お金はどこからどれくらい出ているのか(タイトル戦のスポンサー料が億単位だと聞いて驚きました)などを、軽妙なタッチで伝えてくれています。
竜王戦での防衛にかける意気込みについて「だって、渡辺九段って呼ばれるより、渡辺竜王」って呼ばれたほうがカッコイイじゃないですか!(意訳)」という、タテマエ抜きの自然な感覚にも共感。調べてみるとその後2009年まで連覇を続け5連覇中。2010年もどうなるのか、私にとって急に注目の棋士となりました。
そして本書で何よりも素敵なメッセージだったのが「将棋だってスポーツと同じように観戦して、無責任に楽しんで欲しい(意訳)」というもの。私の日記をご覧の方はご存じの通り、私は自転車ロードレースを観るのが好きですが、この話を人にすると「乗られないんですか?」と必ず聞かれるのです。いいじゃない!観て楽しむの! そんな背景まで本書のメッセージと合致してしまったのだから、読んでいて興奮しないわけがありません。
古き「好き勝手レベルの将棋魂」を呼び起こしてくれた本でした。 図書館に行って良かった。この本と目があって、この本に呼んでもらってよかった、と思える一冊でした。
ひとつの本を読むように、ストーリーとして棋譜を読んでみたくなりました。
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