sakaikの日々雑感~日常編

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あしたのための「銀行学」入門

あしたのための「銀行学」入門 (PHPビジネス新書)

あしたのための「銀行学」入門 (PHPビジネス新書)


 ふと業界に興味を持って手にしてみた本。金融業界の経験が長い著者が銀行の実情について教えてくれます。といってもゴシップ的な内部告発本ではなく、「世間に理解されていない銀行業務」をまっとうに説明しようとする姿勢の強く表れている本です。その思いが強すぎて(そして今までの業界としての説明不足も相まって、世間での理解の薄さもあり)時にいいわけがましく感じるところもあるのは、ご愛敬。


 銀行の「金あまり」の現状(確かに昔は預金すると色々グッズをもらえてましたね)。銀行はなにで稼いでいるのか。業界再編で合併を繰り返しながら「規模」を目指すのはなぜか。そしてこの本で著者が一番言いたかったと思われる「借り手がいてこその銀行」。

 「金あまり」という現象は、つまり借り手がいないということ。資金は不足しているけれども返せる当てものないので借りられない(貸せない)ケースなどを例に、「日本の中小企業が元気になってこそ」銀行が、そして日本経済が元気になる、と語っています。リバース・モゲッジを応用した仕組みの提案など具体的な話もあるのですが、どうも全体として根底に無意識の「お金を貸し出すために」というのが見え隠れしているようで、すんなりとは受け入れられない、でもその感覚を上手に説明もできない、気持ちの悪い違和感を感じました。

 たぶん正しい論なのだと思う。でもそこに「人」「心」がないことが違和感の原因なのかもしれないな、と思いました。


 とはいえ、本書全体としては、「銀行」という特殊な会社(著者曰く、銀行だけは「会社員」と言わず「銀行員」と言うと。なるほど、確かに。)が何をしているのかがわかり、利子収入だけでどうしてあれだけの人数が食べていけるのかという私の疑問に対して概論としては答えてくれたので、読んで良かった本でした。

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