sakaikの日々雑感~日常編

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たった1通で人を動かすメールの仕掛け

たった1通で人を動かすメールの仕掛け (青春新書PLAY BOOKS)

たった1通で人を動かすメールの仕掛け (青春新書PLAY BOOKS)

 メールで人の心をぐっとつかむちょっとした方法を、著者の豊富な経験をベースに紹介している本です。

私は文字コミュニケーション暦は多くの人よりも長めと思いますが、そのせいか、本書で紹介されているテクニックのいくつかは共感できないものもありました。

 たとえば、改行をふんだんに使うことでわくわく感を創出、という「テクニック」については、私はそういうメールは2度と開かないし時には最後まで読むことをやめさえします。無駄なスクロールという「労務を強いられる」ことに対する不快感があるからです。ぐっとひっぱってじらして最大効果が得られるタイミングもあるでしょうが、それが通じる距離感を作り上げ絶妙のタイミングで使わなければならない高等テクニックだと思っています。

 他にも、名前をよびかけよう、というのに対しても私はその馴れ馴れしさに不快感を感じます。かつて Time という雑誌がダイレクトメールで頻繁に名前を呼びかけるものを作成していたことで、私は今でも Time という雑誌は「スパム雑誌」だという印象を深く刻まれたままですし(笑)。 使い所が難しい。単なるテクニックとして使っちゃいけないワザだと思います。

 また、大げさに書こうというアドヴァイスについても、ワザトラシサはすぐに見破られるもので、表面的なつきあいを希望するかのような薄っぺらな感情表現は多くの場合マイナスに働くものだと考えています。htmlメールもITリテラシの低さを露呈するだけで何のメリットもない。



 ・・・・とボロクソ反論から書きましたが、実はこんな小手先のテクニックひとつひとつはどうでも良い話で、本書が訴えているのはメールの話なんかじゃないのです。 この本は「コミュニケーション本」です。 この本の著者は「実生活でなかなかうまく伝えられなかったことが、メールならば(恥ずかしさも減じて)素直に伝えることができた」という体験から「メール」に焦点をあてていますが、本質にあるのは「相手を思う気持ち」。 その気持ちをメールで伝えるには、やはりある程度のコツがいります。

 気持ちを伝えるためにどんなことができるか。時に写真を送り、時に急いで送るということを意識する。時に面と向かってはなかなか恥ずかしくて言えない相手のいいところについて言及し、時にちょっとトリッキーなメール本文を作成してみる。 この根底にある「気持ちを伝えるために」様々な工夫があるという「工夫例」だと思って本書を読むと、メールコミュニケーションに悩んでいる人にとっても大きな助言となるのではないでしょうか。

 基本的に著者の経験をもとに多少面白おかしく書かれており、楽しく読める本です。


 繰り返しになりますが、たいせつなのは「思う気持ち」です。本書を読んで、心にもないことを満載したメールをばらまいて一層知人を失うという悲劇を起こしませぬよう。 自分が伝えたいことがある、その伝える方法には制限なんてないんだ、ということを本書から実感することができることでしょう。


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