- 作者: 椎橋章夫
- 出版社/メーカー: 東京新聞出版局
- 発売日: 2008/05/16
- メディア: 単行本
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取引先の方がメーリングリストで紹介していたので知った本です。テンポ感よく、山場の作り方が上手で、一気に読んでしまいました。Suicaがスタートした2001年11月18日のことはよく覚えています。私はそれなりに新しいもの好きなのでこの日曜日の朝、駅まで行って2000円で最初のペンギン柄のSuicaを購入しました。こんなカードで500円もデポ取るなんて強気に出たなぁと思ったことを覚えています。
[あとで写真をアップ]
現在は当たり前のようにケータイでモバイルスイカを利用し、少なくなってきたら車内でチャージし、グリーン車に乗りたくなったらケータイで買う、ということをやっていますが、これがSuica開始から7年、モバイルスイカ開始からは3年未満しかたっていないと思うと、その変化の速さには驚かされます。 コンビニでもスイカを使えるとラクだな~と思うし、私は使わないけれども知人でタクシーの支払いに必ずスイカを使う人も増えてきています。
「切符の代わり」を目標に(もちろんこの目標自体も大変革を伴うたいへんなことなのですが)していたらばここまで変わらなかった、著者らの「やがてこのカードをマチナカに」との当初からの思いがあってこその現在の広がりだったのだと、本書を読んで納得しました。
この本では、ICカード乗車券への取り組み初期の話から、1990年頃の機器刷新で磁気カードが採択されてしまい「かなり当分のあいだ」IC乗車券を投入する見込みがなくなった時期の話、ちょっとだけ技術的な苦労のお話、実証実験の話やその後の広がりの話まで、Suicaの歴史が広く長く紹介されています。Suica事業に最初から現在までずっと関わってきた方だからこその、言葉に力強さがあります。 「文字で読むプロジェクトX」みたいな感じですね(笑)。
最近の私の仕事(主にWeb系)では、
・致命的ではない部分で多少のトラブルがあっても
・とにかく迅速に
がキーワードになっている面があります。しかしJR東日本というのは事故は絶対に回避すべきだし、そのために二重三重のリスク管理を行っているそうです。本格的なステージング環境の準備や、たとえば線路を入れ替えた後には必ず本番じゃない電車を走らせるとか。Suicaプロジェクトを推し進めるにあたって説明と説得を繰り返してきたその根気とあわせ、「しっかりやる」ことの重みを再認識させてくれた一冊でした。
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