sakaikの日々雑感~日常編

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『サブリミナル・インパクト』

サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)

サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)

 いいとか悪いとかの価値判断ではなく、そういうものなのである、という冷静な中立姿勢が好印象の本書。 人はなぜ、そのように行動したのか、それを解き明かすのが潜在認知ということだ。

 直前に触れた数字や事項に、その後の判断がひっぱられる。昔よく冗談で言った「ロッキーの映画を見た人は肩で風切って歩いている」は、まんざら冗談でもないことがわかる実験結果も紹介されている。


 本書に書かれているようなことを知った上で、他人の誘導に騙されないようにしないといけないなぁと思いつつ、常に「これは何かの誘導か?」と穿った見方をする生活もいやだなぁ、それなら素直に騙されておいたほうがラクだなぁ、と思わなくもない私でした。

 たぶん結構学術的なことを書いているのだと思いますが、学術書にあるような、証拠と事例と文献を重ねて絶対に反論されないような理論武装したゴテゴテの文章を読ませるものでなく、「証拠はないけど、こうだと思ってるんだ」とか「違うかもしれないけどそんな気がする」のような、力の抜けた語りで、著者の考えのしっかりした部分と迷っている部分が伝わってきたのも、印象がよかった。

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