sakaikの日々雑感~日常編

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『カントの人間学』

カントの人間学 (講談社現代新書)

カントの人間学 (講談社現代新書)

 「純粋理性批判」に拒否されながらも、何か本質的なものがそこにありそうな気がして、おそるおそる遠巻きにしながらカントにお近づきになろうという私の試みは、まだまだ続いています。


 本書も、そんな背景の中で多少身構えながら読み始めたのですが、今まで読んだカント本とはまったく異なり、カントという「人」にスポットを当てているのが非常に面白かったです。

 苦労人で、節制者で、生活が規則正しく、かといって無愛想だったわけでもないカント。本心からのポリシーだったのか、行きがかり上そうなってしまっただけのことを意地になって正当化しようとしていたのか、どちらかはわかりません。ただ、自分が体験もしていないこと、つまり単なる知識として知っているだけのことを、生々しく語るという特技については、同時代に生きていたとしたら「人から聞いただだけの話をエラそうに自分の体験であるかのように語るんじゃねぇよ、このオヤジ!!」と感じたかもしれない。


 カントが提起した問題そのものではなく、カント自身についてエピソードを中心に構成されている本書は、カントに感心のある人ならば一度は読んでおカント、と思いました。

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