- 作者: 北川達夫
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/09/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
メインタイトルでは絶対買わなかったであろう本書、なぜ私の手元に届いたのか。きっと何かの書評を読んで心を惹かれたのだろう。読み終わってから改めて表紙を眺めると、サブタイトルである「フィンランド式対話力入門」という文字が燦然と輝いて見えた。そう、本書はフィンランドの日本大使館に勤務していた著者の、肌感覚での「対話」に関する知見をまとめたものである。
とにかく重く、そしてたいせつで、本質を突いている言葉が「相手のことはわからない」。ここをスタート地点とすることで、わからないからこその対話の重要性が浮き彫りになってくるのである。シンパシーではなくエンパシー。「戦うコミュニケーションは古い」の言葉が、ストンと胆に落ちた。
・対話の力としての書籍「23分間の奇跡」の紹介は、空恐ろしいものすら感じた。
・「理念化した対象」の愚:○○の国の教育はすごい、正義の頑固親父が昔はたくさんいて良かった、etc
・対話は「正しい」を判定するものではない
・内心の道徳観と論理的な意見を切り離して考えることをできない人は、日本では多い(と著者は感じている)。建前論の虚ろな「こうすべき」論が昨今多く見られるのは、このせいなのか、と納得
とても素敵な本。人と対話をする必要がある人はもちろん、対話が苦手な人、すぐにかっとなってしまう人など、仕事に生活に「他の誰かとお話をする必要のある」すべての人にお勧めしたい。
.