- 作者: 辻野晃一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11/22
- メディア: 単行本
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要点をまとめると、「大企業で長年過ごした著者が、イマふうのITを駆使した意志決定の速い企業にいってビックリしたものがたり」または「ソニーには、いかほどにダメな偉い人がはびこっているか」という本。
ソニーが本来持っていたであろう創業時の精神への愛をにじませつつも、腐敗したダメ幹部の例を、これでもかというように次から次へと紹介する前半。Googleを持ち上げるための前座として、十分にお膳立ての役割を果たしたと、ソニーを褒めてあげたくなります。
著者がGoogle日本法人の社長になってすぐに、エリック・シュミットが来日した話が紹介されていましたが、これ、たぶん覚えています。新聞の日曜版に「日本の社員と話すエリック」という写真付きの記事が紹介されていて、その写真に知人が写っていたので強く印象に残っていました。エリックと直接お話できるんだ!と感動したのです。たぶんこのときの来日だったのでしょう。
250ページほどにまとめてサラリと書かれてはいるが、この本に書かれたソニーおよびGoogleでのエピソードのひとつひとつが、非常に大きな困難(あるいは挑戦)であったと推察します。体験した人だけが言える言葉、それを思い切ってバッサリ切ってこの分量に収めたこともまた、Googleで体験した「スピード」なのかもしれません。
基本的に、ほぼすべてのページが著者の実体験とそのときの気持ちの描写で埋められていますので、迫力満点です。
私と同じように「疑似体験型読書」をしている方は、きっと本書を読んで興奮することでしょう。
最後に、Googleにおける「10の真実」が本書で日本語で紹介されていたので、メモとして。
10の真実:
1.ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる
2.ひとつのことをとことん極めてうまくやるのが一番
3.遅いより速いほうがいい
4.ウェブでも民主主義は機能する
5.情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない
6.悪事を働かなくてもお金は稼げる
7.外にはいつも情報がもっとある
8.情報のニーズはすべての国境を越える
9.スーツがなくても真剣に仕事はできる
10.すばらしい、では足りない