sakaikの日々雑感~日常編

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いいたかないけど数学者なのだ

いいたかないけど数学者なのだ (生活人新書)

いいたかないけど数学者なのだ (生活人新書)


 飯高先生が数学についてのあれこれを綴った本。数学そのものよりも、それに接する、もっと言えばそれを「楽しんで」いる人たちに焦点を当てている。 もちろんある程度の数式は出てくるが、その数式の内容自体を読者に理解させようとしているのではないと思うので、気楽に読める。

 素敵な内容がいっぱいあるのだがどうも無理矢理詰め込んだ感が強く、個人的には企画側の失敗との印象を持った。この本でもっとも著者が伝えたかったのはおそらく、若くして亡くなった仲間であるS君(新谷卓郎氏)についての事であろう。文章から伝わってくる思いも、その章が占める割合(全4章のうちこの章だけで半分近くを占めている)もそれを物語っている。それならば、「S君」の話題を中心とした本でもっともっと思いを伝えて欲しかったと思うのである。1冊でも売れるか判らない中、はじめから2冊に分けるという考えはなかなかできないことは理解するが、核心が伝わらなければ元も子もないのだから。



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