sakaikの日々雑感~日常編

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デッドライン仕事術 他

デッドライン仕事術 (祥伝社新書)

デッドライン仕事術 (祥伝社新書)

 タイトル、とくに副題の部分に惹かれて買った本。「すべての仕事に "締切日" を入れよ」。 ワタミの渡邊さんの「夢に日付を」に通じるがある。 日付を入れるのは夢という大きな目標だけでなく手元の小さな仕事でも同様ということだろう。結果あるすべての行動はタイムライン上に乗っているものだ。


 何事も程度問題で、吉越氏の仕事に関する方針の徹底ぶりには感心はするが同意はできない。いや、おそらく吉越氏自身の元でその本質を感じつつ本書のような方針に従っていくのはきっと心地よい緊張感を得られるのであろうが、本書を読んで形式だけ真似ようとするチームには、参加したいとは思わない、といったところか。

 「とりあえず飛び込め」(ちょっとは考えてから他に方法がないか時間がかかることが分かったなら飛び込むことにしようよ、と私は思う)とか「2分で即決」とか刺激的な言葉は多いが、その本質については共感するところも多い。


 私がおおざっぱに人物評価をする場合に言う言葉に「趣味を持ってる人はエラい」というのがある。私自身は(最近こそデファクト・インタイしてしまったが)オーケストラに参画していてこの練習日には基本的に穴をあけるわけにはいかない。他の方でもお芝居やダンス、その他習い事などに行っている人は多いが、彼らに共通することは「時間が決まっている趣味に参画できるようにするために仕事の段取りについて常によく考えている」ということである。18時には会社を出たいのであれば何時前に何をしなければならないか、事前に誰に何を伝えておくべきなのか、こういったことを非常によく考えている。 計画が狂ったら楽しい時間もなしになってしまうし、そちらの世界での仲間に迷惑をかけることにもなる。

 こういった考え方こそが本書で論じられている「デッドライン仕事術」の本質なのだろうと思っている。完了目標の設定がないからだらだらと無計画に仕事をしてしまう。「終電」が唯一のデッドラインになっているのであろうが、その頃には並の人間の集中力はとっくに切れているだろうから「あーあ。今日も終わらなかった」と言いいながら毎日帰る風景が目に浮かぶ。


 本書で述べられる本質には賛同するもの、それにしてもやはり言い切り過ぎだなという印象はかなり残った本だった。本書で述べられていることでもっとも重要なのはその本質について語った部分であり、その実現方法や制度についてはひとつの具体例(トリンプはこうやって成功したという一例)にすぎないという点は意識して読んだほうがよいであろうことを、これから読む人にはお薦めしたい。


 また本書と合わせて、

2分以内で仕事は決断しなさい

2分以内で仕事は決断しなさい


 も読んだのであるが、述べている本質部分は両書に共通して非常に単純なものであり、その表現手法が変わっただけであるので、一冊目で主張に対して納得している身としては特に目新しいものを得られなかった。 (もちろん表現を変えたものを繰り返し目にすることで、より印象に深く残ったという効果は、言うまでもない)

 こちらの本は活字も大きく読みやすいので、まずこちらで雰囲気をつかみ、もうちょっと細かく読んで見たくなったら「デッドライン仕事術」の新書のほうを読むという順序をお薦めしたい。


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